「派遣だから」と諦める前に読んでほしい、事務局再生の記録
「ここはもう流れができているから、言われたことだけやってくれればいいよ」
公共事業の事務局に、プロジェクト途中で配属されたとき、最初にかけられた言葉でした。
しかし、実際に足を踏み入れた現場は、70名ものスタッフが在籍しているにもかかわらず、誰が何をしているのか分からない“カオス”な状態でした。
すべての書類には管理番号(アドレス)が振られている。
それなのに、その番号がどこを指し、書類がどこにあるのか、誰も説明できない。
これはまさに、
「住所はあるのに、地図がない」
そんな致命的な状態でした。
本記事では、
派遣社員として事務局に配属された私が、SVを任され、
約一年間の改善と信頼構築を経て、清算・仕切り直しの段階で事務局を再設計し、70名→20名の少数精鋭体制へ移行したプロセスを記録します。
※この改善は短期間で成し遂げたものではありません。
現場を止めず、小さな改善を積み重ねた結果として実現したものです。
SVを任されるまでの経緯
私が最初からSVとして配属されたわけではありません。
当初はあくまで「言われた業務をこなす派遣スタッフ」でした。
しかし返納業務を中心に事務局全体を見渡す中で、
- 管理番号が機能していない
- 業務全体を把握している人がいない
- 人を増やしても事務局業務が楽にならない
という構造的な問題が次々と見えてきました。
一担当者の工夫では限界がある。
そう判断した私は、このままでは事務局が立ち行かなくなるという危機感を、
感情論ではなく、事実とリスクとして整理し、課長に伝えました。
その時点で私は、
「一スタッフの立場では改善は不可能」と判断し、
一度は契約終了の意思も伝えています。
それに対して返ってきたのが、
「どうしても君の力が必要だ。
条件を見直すから、SVとして事務局を立て直してほしい」
という言葉でした。
時給・役割・責任範囲を明確にしたうえで、
事務局改善を担うSVとして任命された。
ここから本格的な改善が始まりました。
派遣だからこそ見えた、事務局の根本的な問題
事務局で最初に感じた違和感は、
「誰に聞いても、全体像が返ってこない」ことでした。
自分の担当業務は説明できる。
しかし、
- この事業は今どこにいるのか
- 次に何が起きるのか
を説明できる人がいない。
これは個人の能力の問題ではなく、
事務局の構造そのものの問題でした。
70名いても事務局業務が回らなかった理由
管理番号が機能していなかった
管理番号は存在していました。
しかし、それを管理する台帳がない。
番号は「管理」ではなく、
ただ貼られているだけのラベルになっていました。
返納業務のたびに、
事務局中を歩き回り、箱をひっくり返して書類を探す。
それが日常でした。
人を増やすほど混乱した構造
非効率を人で補う。
その結果、
- 情報共有が分断される
- 責任の所在が曖昧になる
- 全体が誰にも見えなくなる
70名いても、誰も楽にならない事務局が出来上がっていました。
最初に行ったのは「全面改革」ではなく部分リフォーム
SVになっても、いきなり仕組みを壊すことはしませんでした。
事務局は止められないからです。
まず行ったのは、
- 業務フローの可視化
- 無駄な往復・二重確認の削除
- 人員配置を「できない理由」ではなく「伸ばす強み」で再設計
という小さな改善の積み重ねでした。
信頼を積み上げた一年間のトライ&エラー
改善が受け入れられなかった最初の壁
正直、最初は反発もありました。
「今までこの事務局はこうやってきた」
「変える必要があるのか」
事務局の業務改善は、
正しさだけでは進みません。
信頼がなければ、どんな正論も届かないのです。
数字と事務局の空気が変わり始めた瞬間
それでも改善を続ける中で、
- 処理件数の安定
- ミス件数の減少
- 「前より事務局業務が楽になった」という声
が少しずつ増えていきました。
改善は受け入れてもらえました。
良い改善だと肌で感じてくれた人の声は大きかった。
この一年間、残業は当たり前。
22時頃に帰る日も珍しくありませんでした。
それでも逃げなかったのは、
この土台が、未来を楽にすると確信していたからです。
一年後の清算・仕切り直しで実現した事務局の再設計
事務局の清算・仕切り直しのタイミングで、
これまで積み上げた改善を前提に、
組織と業務をゼロから再設計しました。
70名→20名を可能にしたハイブリッド業務
それまでの事務局では、
- データ入力
- 電話対応
- 審査
が完全に分業されていました。
この分業が、
引き継ぎミスと責任分断を生んでいました。
そこで、一人が最初から最後まで担当する
一人完結型(ハイブリッド)業務へ切り替えました。
結果として、
- 状況把握が全員に行き渡る
- フォローが即座に入る
- 組織全体が軽くなる
70名いた事務局は、
20名強の少数精鋭チームへと生まれ変わりました。
残業続きの事務局が定時退社に変わった理由
仕事量は大きく変わっていません。
変えたのは、構造です。
土台(骨組み)を作り込むことで、
緊急対応がない限り、定時退社が当たり前になりました。
業務改善とは、
楽をすることではなく、
安定して回る仕組みを作ることです。
まとめ|事務局の業務改善は、人数ではなく土台で決まる
事務局を70名から20名へ最適化できた理由は、
特別な才能や強引な改革ではありません。
約一年間かけて、
現場を止めない小さな改善を積み重ね、
信頼を築いたうえで、
清算・仕切り直しのタイミングで構造を見直した。
それだけです。
人を増やしても事務局業務が楽にならないなら、
原因は仕事量ではなく、構造にあります。
立場は関係ありません。
派遣でも、SVでも、
現場を変えるのは
意思と、小さな改善の積み重ねです。
まずは、
あなたの職場にある「なくても回る作業」を
一つだけ書き出してみてください。
そこから、
一年後の大きな改善は始まります。
私は、公共事業の事務局に
派遣社員として配属された立場から、現場全体の業務改善・再設計に踏み込んだ人間です。
「派遣だから」「前からこうだから」
そう言われがちな現場で、
人を増やさずに業務を安定させるにはどうすればいいのか。
その問いに、逃げずに向き合ってきました。
途中から任されたのは、名目上は派遣SV。
しかし実態は、事務局全体の業務調整、属人化の解消、
業務フローや役割分担そのものを見直す立場でした。
現場ではよく、こんな声を聞きます。
「人を増やしても楽にならない」
「何かがおかしい気はするが、説明できない」
私はその言葉にならない違和感を、
構造として捉え、改善案として言語化し、
現場が回る形に落とし込むことを続けてきました。
このサイトでは、
派遣という立場でも影響力を持つための考え方や、
事務局の業務改善がなぜ進まないのかという構造を、
44歳からのDX転職という現実的な文脈で発信しています。
これは成功談ではありません。
試行錯誤と失敗を重ねてきた、現場の記録です。
同じように悩み、立ち止まりながらでも、
それでも一緒に前に進んでいけたら嬉しいです。

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